ITビジネスでも、ものづくりビジネスでも共通して言えることがありますね。
何か新しい商品、新しいサービスをするとき、今までの商品、サービスと比べてどうなのか? 競合他社の商品、サービスと比べてどうなのか? を企画の段階で検討することが多々あると思います。
そして、比べる際に、見えないことを見える化する一例として、数値化することが多いです。アナリストの方がよくやる手法です。数値と数値とを比べると、どちらが大きい、多いかがわかりやすいです。
要するにスペックがよくなっているかどうかを判断しやすいわけです。
ここで、考えてもらいたいことは、そのスペックを、見込み客(需要者)が求めているのか?っていうことです。
今までの日本企業は、スペックをよくすることを得意としてきました。
つまり、ユーザーが、同じ使い方をして、高性能を楽しんでいました。
例えば、家庭用テレビゲーム(ビデオゲーム)の画像をよりリアルにして高揚感を出したり。そして、バージョン2、3、4と高性能化していきます。
これでは、価格が上昇し、ユーザーも徐々に減り、市場(マーケット)が衰退していきます。
そこで、数値にとらわれず、数値で測れない「感動」や「ワクワク感」や「ときめき」を商品、サービスを通じて提供するコンセプトが注目されました。
新しい使い方で、新しい体験を得られるってことです。
例えば、ひと昔のわかりやすい例では、家庭用テレビゲームでコントローラーを振り回して、ボーリングゲーム、釣りゲーム、テニスゲームを楽しむ体験です。
これは、ヒットしましたね。
家庭用テレビゲームの例を話しましたが、別の分野では、そよ風を送る扇風機、パンの香りをより楽しめるスチーム付きトースターなどを手がけているバルミューダ社があります。昨日の朝日新聞で紹介されていました。小生も、そよ風を送る扇風機をよく知っています。
扇風機自体、トースター自体は、既に世の中に出回っているわけですが、既存のものとは、違う体験が得られるってことで、ヒットを出し続けています。
この会社、何がスゴいかっていうと、人に与える感動や体験は数値化できないと考えていることです!
ってことは、スペックの比較は、あまり意味がないってことをわかっています。
そろそろ、自動車の新車スペックは、あまり意味がないってことに気づくべきではないでしょうか?
フルモデルチェンジすると、エンジンの馬力、トルクなどの出力が数値で表示されて、前のモデルと数値で比べやすくなっていますが、既にオーバースペックではないでしょうか?
また、エンジンの出力がUPしても、車体全体の重量が増えれば……。しかも、最近では、 車体重量を表示しなくなったメーカーが増えました。
ちょっと話が逸れました。ビジネスとして商品、サービスを提供して利益を出したいと考えている経営者は、多いです。
経営者のみなさん、先ずは、どんな体験を提供したいか? をはっきりさせることが大切です。